2週間ほど前にTKA術後でリハビリテーション中の患者さんが、尿路感染症から敗血症・DICを併発してしまいました。この方は基礎疾患も特になかったので、発症前はほぼノーマークでした。休み明けの午前中にいきなり39度の熱発が出現しました。


前日は36度台でご本人からの訴えも特にありませんでした。CRP/WBC 6.7/7000程度で炎症反応はそれなりに高値ではあります。しかしご本人を診察したところ、何故か何とも言えない重篤感がありました。突然の熱発だったので誤嚥性肺炎を疑い、胸部CTを施行しましたが特に異常所見を認めませんでした。


不明熱の検索では呼吸器・尿路感染症をまず疑うのが鉄則なので、尿検査するとかなり混濁していました。腹部CTで右腎盂の腫脹をみとめたため、急性尿路感染症と診断して第2世代セフェム系の抗生剤を1日3回点滴投与開始しました。


重篤感が何となく嫌だったのですが、やるべき対応をこれ以上思いつかなかったので、経過観察していたところ、準夜帯から血圧低下とともに乏尿 ⇒ 無尿となりました。経過から敗血症性ショックと診断して、大量輸液+カタボン持続投与を開始しました。


急激に状況が悪化してきたので、未明に家族にお越しいただき病状説明をしました。深夜帯でも500ml/hペースで大量輸液しましたが血圧を保てません。まるで底が抜けたバケツのような感覚でした。


いわゆるwarm shockの状態であったため、カタボンHi 9mlでも全く血圧を保てずノルアドレナリンも追加投与開始しました。相変わらず無尿の状態がつづきましたが、ノルアドレナリン投与によって血圧の底支えをして何とか翌朝まで持ちこたえさせることができました。


翌朝から内科の先生による敗血症およびDICの本格的な治療が始まり、発症から約1週間でほぼDICから離脱することに成功しました。整形外科医がDICの治療までイニシアチブを取って治療を行うことはあまり無いですが、敗血症性ショックの初療を施行する機会は少なくないと思います。自分の勉強を兼ねて敗血症性ショックの初療についてのまとめてみました。


敗血症性ショックの初療についてのまとめ につづく




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