今日の午前は、人工股関節全置換術(THA)でした。
80歳台の外傷性大腿骨頭壊死症(大腿骨頚部骨折後)でした。
M3の掲示板で同様のケースに対してTHAを施行するか人工骨頭挿入術を施行するかで議論があり、人工骨頭挿入術を推す意見が優勢だったことに驚いた記憶があります。
股関節外科医の感覚ではTHAですが、普段やり慣れていない術者からすると人工骨頭挿入術を選択する方が無難なのかと妙に得心したものです。
そうは言っても人工骨頭挿入術はthigh painの原因になるため、股関節周囲の感覚の鋭敏さが残っている若年層(70歳ぐらいまで)はTHAの方が不定愁訴が無く成績が良いと思います。
さて、解剖学的に正常に近い寛骨臼ではいくつかピットフォールがありますが、特に大腿骨頭壊死症で寛骨臼の変形が軽度の場合には、荷重部のリーミングが不十分になることが多いです。
前後壁で固定されているので問題無いといえば無いのですが、単純X線像的には少し気持ち悪さが残ります。大腿骨頭壊死症では患側の脚長が長くなりがちなので、寛骨臼上方のリーミングを心掛けたいものです。
また、高齢者の場合はリーミングの際に軟骨下骨を貫通すると脆弱な粗鬆骨が全周性に露出してしまい、カップの固定性が不良になることがあります。したがって軟骨下骨はある程度温存するようにリーミングの深さを調節する方が無難だと思います。
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人工股関節全置換術
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僕は股関節専門ではないので、THAにはちょっと抵抗があります。というよりも臼蓋リーミングの深さや加減がたまにやると難しいな、と感じるからです。ちびちびやると時間もかかっちゃいますし…
だから僕のような一般整形外科医はやり慣れた人工骨頭を選択するのでしょうね。