昨日の午後は、中指PIP関節付近での陳旧性掌側指神経損傷でした。
約半年前に誤ってカッターで切って、近医で縫合処置を受けたそうです。


当初から指先の知覚過敏があったようですが、いつまで経っても症状に変化がないため手術に至りました。皮膚縫合部でのtinel signが強陽性でした。


手術ですが、皮膚縫合部を少し延長して中枢側の正常な指神経をまず展開しました。正常な神経から末梢に剥離を進めていくと、分厚い瘢痕組織に覆われた部分に差し掛かりました。


瘢痕組織を切除すると、神経の連続性は辛うじて保たれているものの、掌側指神経の半分程度が切断されている所見を確認しました。


ここからは顕微鏡下に神経周囲の瘢痕組織を慎重に切除して指神経の断端を展開しました。指神経断端を新鮮化してから9-0 プロリン2本で端々縫合しました。


脊椎の再手術や腫瘍でも同様ですが今回のような初回手術ではない場合には、正常な部分からターゲットにしている部位に向かって展開を進めることが推奨されます。




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