今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
この方は大腿骨頚部前捻角が”後捻”しており、非常に苦労しました。


大腿骨近位の調整がchangable neckの方がより細かく対応しやすいため、今回はS-ROM-Aではなくてkinectivでの対応としました。


しかし、kinectivでは前捻角の調整に限界があるので、寛骨臼側のカップ設置前に大腿骨側の処置を行いました。そして大腿骨に前捻角10度程度でステムが設置できることを確認してからカップを設置しました。


もちろん、カップの前方開角は大き目(30度程度)で設置しています。このような工夫で安定した股関節となりましたが、もともと後捻している大腿骨にラスピングするためカルカー内側の皮質骨が早い段階から露出しました。


頚部骨切り部には海綿骨がまだ残っていましたがカルカー内側部は完全に皮質骨のみになってしまったため、予定よりも2サイズダウンのステムとなりました。無理をして予定サイズのステム挿入にこだわると骨折を併発した可能性があります。


大腿骨後捻の症例は普段あまり経験しないですが、やはりS-ROM-Aで対応する方がどのような状況にも対応できるため、よりお勧めかもしれません。




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                                    人工股関節全置換術