今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
スリムな60歳台の女性だったので、非常に容易な手術でした。


閉経後の女性の場合、骨質が意外と不良なことが多いです。大腿骨骨幹部の皮質骨はしっかりしているのですが、転子部などの骨幹端や寛骨臼の骨質には注意が必要です。


案の定、今日の方も寛骨臼の骨質が脆かったので、リーミングは30秒ほどで完了しました。最初から全力でリーミングしてしまうと、前後壁をとばしたり内板を穿孔することがあるので要注意です。


このあたりのポイントさえ押さえれば、脆弱な骨質はむしろ手術時間の短縮につながります。リーミングとラスピングでほとんど時間を取られないので、あっという間に手術が終了してしまうのです。


このような骨質が不良の患者さんは、術後しばらくしてから骨粗鬆症の治療を開始することが望ましいでしょう。私の場合、術後3ヶ月目からビスフォスホネート製剤投与を開始します。


なんと言っても実際に患者さんの骨を触ったり掘削して大腿骨や寛骨臼の骨質を充分に評価しているわけですから、どんな検査よりも正確に骨質を判断できているのです。



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                                    人工股関節全置換術