昨日の午前は人工膝関節全置換術(TKA)でした。
高齢者で変形が高度かつ拘縮の強い方でなかなか大変でした。


このような方の手術では拘縮を改善するために積極的に大腿骨後顆の剥離を行います。どうしても膝窩に手術操作が及ぶため、ターニケット開放時には気を使います。


ターニケットを使用する場合、インプランテーション後に止血のため圧を開放する施設が多いと思います。術者の気持ちとして開放後は、早くガーゼを除去して止血したい誘惑に駆られます。


しかし、ガーゼを除去するのが早すぎると術野からの出血が止まりません。ターニケットの圧を開放して少なくとも1分以上経たないと静脈血の還流が一巡しないためです。


特に膝窩からの出血が多いと焦ってしまいますが、この場合には再度ガーゼを挿入して圧迫止血を続けます。ほとんどの場合、2~3分も圧迫止血すると静脈性の出血は止まります。


さすがに動脈性出血は圧迫だけでは止まりませんが、静脈性出血は2~3分我慢するとほとんど止まります。圧迫している間に冷静になることもできるので一石二鳥です。


これはTKAに限らずターニケットを使用する下肢の手術全てにあてはまります。”ターニケット開放後は長めの圧迫止血を!”を合言葉にしてもよいのかもしれません(笑)。



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