今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。60歳台女性の特発性大腿骨頭壊死症のtype C-2で、ほぼ大腿骨頭全てに壊死が発生していました。
1月中旬から痛みが出現して近医を受診した際には、単純X線像で大腿骨頭荷重部の圧潰を認めました。MRIを施行したところ、大腿骨頭のtoral nescrosisでした。
2月初旬に疼痛が増悪したため、MRIの結果説明も兼ねて再度近医を受診すると大腿骨頚部骨折を併発していたため、手術目的で当院に紹介受診されました。
このような症例では人工骨頭置換術を選択する整形外科医が多いと思います。しかし下記のような理由のため、可能であればTHAが望ましいです。
① 若年者の人工骨頭置換術はcentral migrationを併発しやすく長期成績が不安定
② 寛骨臼荷重部軟骨が損傷されていることが多く、thigh painを好発する
以前、M3の掲示板でこのような症例で人工骨頭置換術かTHAかで議論がありました。傍観していたのですが、意見の趨勢が人工骨頭置換術になったので驚いた記憶があります。
股関節外科医的にはTHAしか考えられないのですが、単純X線像での印象よりも手術ははるかに難しいのは事実です。おそらく通常のOAよりもピットフォールが多いです。
今日も寛骨臼の破損が著しく、数秒リーミングしただけで軟骨下骨を穿破しました。また、正常股にそのままカップを設置すると脚延長になってしまうので、少し上方に慎重にリーミングしました。
特発性大腿骨頭壊死症でTHAを施行する際には、可能であれば経験豊富な股関節外科医と一緒に手術を行う方が無難だと思います。
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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です
人工股関節全置換術