昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。脚長差が約4cmもあるため、大腿骨短縮骨切術併用のTHAも考えましたが、結局は通常の術式での対応としました。


この症例は更に大腿骨頚部前捻角が約50度もある大腿骨頚部過前捻の症例でした。通常、大腿骨頚部過前捻がある場合にはS-ROM-Aを選択するケースが多いと思います。


しかし、今回の症例では、①大腿骨頚部が短縮している ②高位脱臼のため脚短縮しており引き降ろしが必要 だったので、大腿骨頚部骨切をかなり低位にする必要がありました。


小転子よりも10mm~15mm上で大腿骨頚部前捻角が大きくても、小転子直上レベルではほぼ打ち消されている症例が多いです。もちろん、これは術前CTで判断できます。


今回の症例でも小転子よりも10mm~15mm上では約50度でしたが、小転子レベル直上レベルでは20度程度でした。このため、S-ROM-Aは不要との判断で、Accolade 2を選択しました。


実際に術野を確認しましたが、CTの結果通り大腿骨頚部前捻角は20度ぐらいしかなく、Accolade 2でも全く問題はありませんでした。


このように大腿骨頚部過前捻症例であっても頚部骨切が低位の場合には過前捻ではないことが多く、術前計画における頚部骨切ラインでの大腿骨頚部前捻角の計測が重要となります。




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