昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
40歳台の特発性大腿骨頭壊死症(ION)で、両側ともtotal necrosisに近いType C-2でした。


壊死範囲が広すぎて大腿骨頭前方回転骨切術(ARO)の適応はありません。痛みの強い左股関節は stage 3b だったので、若年者ではありますが左THAを施行しました。


AP




特発性大腿骨頭壊死症に対するTHAは、通常の変形性股関節症(OA)のTHAよりもかなり難しいと感じています。今日の方も変形は少ないにも関わらず、脱臼させることが一苦労でした。


おそらく円靭帯が温存されていたため大腿骨頭を脱臼できなかったのだと思いますが、頚部のラフカット → 本番の頚部骨切 というダブルカットをせざるを得ませんでした。


更に寛骨臼の骨質が良過ぎて、1mmアンダーリーミングではカップが全く寛骨臼内にインパクションできませんでした。やむを得ず同サイズリーミングを追加しています。


更に、若年者の特発性大腿骨頭壊死症では可動域が良いため、ちょっとでもインプラントの設置角度が悪いと易脱臼性を併発しやすいというピットフォールがあります。


このようなことから私の中では、OAよりもIONの方が注意が必要で難しいという認識を抱いています。単純X線像だけで判断すると、IONの場合には痛い目に会うかもしれません。



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                       股関節学