昨日の夜診で救急患者さんを受け入れました。
11歳の女児が転倒してから右足関節が痛くて歩けないとのことで救急搬送されたのです。


単純X線像では脛骨遠位骨端離解(Salter-Harris type 2)でした。私の経験症例は転位が10mm未満のことが多かったのですが、今回はめずらしく転位が大きかったです。



AP

LR




来院時にはすでに足関節周囲の腫脹が高度で、局所の重症感がありました。このような状況では、軟部組織が邪魔をして徒手整復が難しい場合があります。


私は透視をあまり見ないで、実際の骨折部に意識を集中させて徒手整復する主義です。整復を一瞬で終わらせるには、骨折部を正確に把握する必要があります。


この場合の工夫として、あらかじめ透視下に骨折部をマーキングしています。今回は胡坐位をとってもらい側面像で整復位を確認するので、足関節内側の骨折部直上にマーキングしました。


骨折部のマーキングよりも少しだけ中枢側で足関節前面からカウンターを掛けながら、踵部を前方方向に力一杯押すと整復されました。一応モニターは見ますが、意識は両手に集中させます。


整復後AP

整復後LR



脛骨遠位骨端離解を完全に整復することは難しく、側面像で2-3mm程度の転位が残存するケースが多い印象です。この程度の転位はある程度許容せざるを得ないのかなと考えています。


整復後は足関節中間位でのギプスシーネ固定を施行します。足関節を背屈する方が骨折部が安定しますが、背屈位までなかなか持っていけないことが多いと思います。



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