昨日の夜診で興味深い患者さんを診察しました。
この方は屋内を歩いていて段差につまずき、足趾を強制底屈して受傷されました。


足趾を観察すると、第2足趾のDIP関節の腫脹と発赤を認めます。更に良く観察すると僅かですが、DIPのみ軽度屈曲しており、手指で言う "マレット " 変形をきたしていました。


「んん?」と思って足趾の自動運動をしてもらいましたが、やはり第2足趾のDIP関節のみ自動伸展不可でした。念のため健側足趾を観察しましたが、やはり完全伸展可能でした。


単純X線像では明らかな骨折を認めなかったため、第2足趾の腱性マレット趾と診断しました。私自身は初めて診察するのですが、調べてみると全然珍しい外傷ではないようです。


足趾をぶつることは日常茶飯事なので、ありふれた外傷なのでしょう。しかし何故か、マレット骨折(変形)が足趾にも発生するという考えが、私の頭の中から抜け落ちていました。


さて治療ですが、今回は骨折ではなく腱性マレットであることが問題となります。手指の場合、腱性マレットはスプリントで治療しますが、足趾の場合には伸展位を保ち続けることが難しいです。


足趾は短いためスプリントが充分に機能しないことが多いです。更に入浴時に、手指のように健側手指で伸展し続けることが難しいため、保存治療が上手く施行できない可能性が高いです。


以上のことを患者さんに説明した上で、スプリントもしくはシーネによる保存治療を施行するかどうかを相談しました。結局、ご高齢でもあり、このまま何もせず経過観察することになりました。


しかし、本当にそれで良かったのか私自身も確証を得られません。何か良い治療方法や治療方針があれば、是非教えていただきたいものです。



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