昨日の夜診で興味深い患者さんを診察しました。
この方は屋内を歩いていて段差につまずき、足趾を強制底屈して受傷されました。
足趾を観察すると、第2足趾のDIP関節の腫脹と発赤を認めます。更に良く観察すると僅かですが、DIPのみ軽度屈曲しており、手指で言う "マレット " 変形をきたしていました。
「んん?」と思って足趾の自動運動をしてもらいましたが、やはり第2足趾のDIP関節のみ自動伸展不可でした。念のため健側足趾を観察しましたが、やはり完全伸展可能でした。
単純X線像では明らかな骨折を認めなかったため、第2足趾の腱性マレット趾と診断しました。私自身は初めて診察するのですが、調べてみると全然珍しい外傷ではないようです。
足趾をぶつることは日常茶飯事なので、ありふれた外傷なのでしょう。しかし何故か、マレット骨折(変形)が足趾にも発生するという考えが、私の頭の中から抜け落ちていました。
さて治療ですが、今回は骨折ではなく腱性マレットであることが問題となります。手指の場合、腱性マレットはスプリントで治療しますが、足趾の場合には伸展位を保ち続けることが難しいです。
足趾は短いためスプリントが充分に機能しないことが多いです。更に入浴時に、手指のように健側手指で伸展し続けることが難しいため、保存治療が上手く施行できない可能性が高いです。
以上のことを患者さんに説明した上で、スプリントもしくはシーネによる保存治療を施行するかどうかを相談しました。結局、ご高齢でもあり、このまま何もせず経過観察することになりました。
しかし、本当にそれで良かったのか私自身も確証を得られません。何か良い治療方法や治療方針があれば、是非教えていただきたいものです。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断
アクセスカウンター
- 今日:
- 昨日:
- 累計:
管理人によるケアネット連載コラム
管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
人気記事
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
カテゴリ別アーカイブ
QRコード
お気に入りリンク集
記事検索
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。
利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。
当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。