昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
寛骨臼前・後方に大きな骨棘を形成している臼蓋形成不全の強い症例でした。


このような症例では術野を展開する際に、前後の骨棘が邪魔になることが多いです。大腿骨頚部の骨切ラインが高くないのであれば、これらの骨棘を切除すると術野の展開が改善されます。


この際に、カップトライアルを一度挿入して電気メスでおおよその骨棘の切除範囲をマーキングすれば、スムーズに骨棘を切除することができます。


骨切除はノミを用いますが、特に寛骨臼前方ではレトラクターもしくはエレバトリウムを挿入しておき、前方の神経・血管束を損傷しないように保護しておく必要があります。


あらかじめ術前CTで寛骨臼前壁と神経血管束の位置関係を把握することが可能です。個人差が大きく、意外なほど寛骨臼前壁に近い部位に神経血管束が走行している症例を散見します。


このため術前CTでは、股関節の角度や大きさなどの骨形態の情報だけではなく、神経血管束と股関節の位置関係を確認することが非常に重要となってきます。


現時点で3Dテンプレートは骨の形態しかシュミレーションできないので、神経血管束に関しては従来のCTを丹念に読影することが重要だと思います。



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                                    人工股関節全置換術