昨日の午前はアルバイト先での外来でした。
立て続けに、手背の腫脹・発赤を主訴とした高齢者が受診されました。


局所所見は、いずれも手関節よりも末梢の腫脹・発赤を認めます。単純X線像では手関節内に石灰化を認める方と認めない方が居ました。


血液生化学データは、いずれもCRPが二桁でWBCは10000程度でした。このようなケースでは手背の腫脹・発赤が、蜂窩織炎なのか結晶性関節炎なのか、判断に苦しみます。


血液生化学データでは、結晶性関節炎のWBCは比較的正常範囲内に留まっているケースが多いですが、蜂窩織炎ではWBCが上昇する傾向があります。


しかし、単純にWBCが正常範囲内であれば結晶性関節炎、正常よりも多ければ蜂窩織炎と診断することは、結果があまりに違いすぎるので恐くてできません。


このような場合、私は基本に立ち返って身体所見を重視することにしています。つまり、手背や手関節全体に腫脹・発赤が広がっている場合でも、圧痛点を丹念に探すのです。


手背を中心に圧痛点が限局されない症例では、蜂窩織炎と診断します。一方、どれだけ手背が腫れて発赤していても圧痛点が手関節に限局している場合には、結晶性関節炎と診断します。


この手背から手関節部における”圧痛点”の部位や広がりを丹念に診察することで、蜂窩織炎と結晶性関節炎との鑑別診断が有る程度の精度で可能だと思っています。




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