今日の午前は、人工股関節全置換術(THA)でした。
最近のマイブームは梨状筋温存の後外側アプローチです。


しかし、” 梨状筋温存 ”ではなく、” 内閉鎖筋温存 ”の後外側アプローチ
という方が、表現としてはピッタリであることに気付きました。


短外旋筋群は上双子筋・内閉鎖筋・下双子筋など筋群の総称ですが、
大腿骨頭前方回転骨切術(ARO)などの手術以外ではあまり区別することはありません。



しかし、可能なかぎり股関節後方の安定性を確保するためには、
どの筋肉まで温存するかが結構重要になってきます。


術中所見を観察すると、上・下双子筋よりも索状になっている内閉鎖筋の方が
股関節後方の制動性に大きく影響するように見えます。


そして、股関節後方要素を温存する範囲のメルクマールとしても、
視覚的にも触覚的にも内閉鎖筋が優れています。


内閉鎖筋を指先で触った感触は、梨状筋よりやや小振りですが、
しっかりと索状物として触知できるので自信を持って温存できます。


股関節屈曲80度・内転20度・内旋60度のいわゆる脱臼肢位をとっても、
内閉鎖筋がインナーボールの上層でピンピンに緊張するので全く脱臼傾向がありません。


後方関節包をL字切開する部位を内閉鎖筋の末梢側にすることで、
確実に股関節の後方安定性を温存することができます。


これからは、” 梨状筋温存 ”ではなく、” 内閉鎖筋温存 ”の後外側アプローチ
であるという認識でTHAを施行していこうと思います。



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                                    人工股関節全置換術