今日の午前は外来でした。
骨粗鬆症の治療をしている患者さんが受診されましたが、最近胸やけがするとのことです。


この方は多発性脊椎圧迫骨折があるため、かなりの円背をきたしています。このため体型が昔とかなり変わってきたそうで、お腹がぷっくりと出ています。


お腹がぷっくりと出ることは、円背のために腹腔の容積が小さくなったため発生します。腹腔が小さくなったため胃が圧迫されて腹圧が上昇し、胃酸の逆流が起こりやすくなります。


つまり、この胸やけは逆流性食道炎(GERD)による症状なのです。円背そのものを治療する手段は無いので、基本的には逆流性食道炎の治療を行うことになります。


逆流性食道炎の治療は、酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)、またはヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)投与なので内科医師にお任せします。


しかし、生活習慣を下記のように改めることが重要だそうです。

① 脂っこいものや刺激の強いものを摂りすぎない 
② 食べ過ぎに注意する  
③ 食べてすぐに横にならない 
④ 寝るときに少し上半身を高くして寝る
⑤ お腹をしめつけない姿勢を心掛ける 
⑤ 禁煙する


この患者さんは太ってお腹が出たために、胸やけがおこると考えていたそうです。このため「痩せなければ」と思っていたそうですが、痩せても根本的な解決にはならないことを説明しました。


円背を作らないようにするためにも、骨粗鬆症の治療を地道に行う必要性を改めて感じました。



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