整形外科外来をしていると、腰痛の治療を行うことが非常に多いです。整形外科医的な疼痛治療の柱は薬物療法ですが、最近になって患者教育も重要ではないかと思うようになりました。


特に、画像診断などで腰痛の原因が特定できない非特異的腰痛ではその傾向が顕著な気がします。非特異的腰痛は腰痛疾患の85%を占めると言われています。


腰痛患者さんには安静が一番と思っている方が多いですが、非特異的腰痛では過度に安静にしているよりも、痛みに応じて普段通りの生活を行う方が治癒率が高いです。


このことから、私は非特異性腰痛の患者さんには下記のようなことを言うようにしています。
① 安静にする期間はできるだけ短い方が良い
② できる範囲で、普段通りの生活を送る方が良い
③ 痛みに応じて消炎鎮痛剤を服用してください


治療のゴールは、痛みをコントロールして普段の生活に戻ることです。無理に痛みをこらえるのではなく、消炎鎮痛剤を使用してできる範囲で普段の生活を送る方が治療成績が良いです。


ただし、治療開始後4~6週間経過しても疼痛が改善しないようなら、MRIなども検討するべきだと思います。ときどきですが、転移性脊椎腫瘍などが痛みの原因であることがありますから・・・



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Critical thinking脊椎外科