先週にCrowe分類 type 2に対する人工股関節全置換術(THA)を施行しました。
高位脱臼の程度はさほどではないのですが関節拘縮が高度でした。
屈曲40-10-0、外転0--10--20と屈曲・内転拘縮していました。Crowe分類 type 2~3では大腿骨短縮骨切術を併用するか否かを検討しますが、今回は拘縮の解除が一番の問題でした。
通常通り、後方から進入して股関節を展開したのですが、大腿骨近位部の骨棘形成が著しいため全く脱臼することができませんでした。やむを得ずピース・バイ・ピースに骨棘を切除しました。
脱臼不可能なほど高度な大腿骨近位部の変形の方の手術では、いかにして大腿骨近位部を「造形」するかがポイントになります。骨棘を残したままでは脱臼も引き下げも不可能です。
しかし、骨切し過ぎると大転子骨折を併発したり、近位部が無くなってしまう可能性があります。感覚的には、芸術家が木の中から作品を彫り出す手技に近いと思います。
メルクマールになるものがあまり無いので、髄腔の位置から全体の構図を考えます。「髄腔がここにあるから、骨棘はこの程度まで骨切りしても問題無いな」といった地道な作業が必要です。
今回は、大腿骨近位部の「造形」以外にも関節包の全周性の輪状切開・大殿筋停止部の剥離・腸腰筋切離・大腿筋膜張筋延長など全てのオプションを選択して何とか終了しました。
結構疲れましたが、術後経過は良好なので苦労が報われます。このあたりは整形外科勤務医の醍醐味ですね。う~ん、やはり引退するのは、ちょっともったいないかなぁ(笑)。
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股関節学
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