先週は大腿骨転子部骨折後偽関節に対する手術を施行しました。
このような症例はときどき見かけますが、私自身が主治医として経験するのは初めてです。


2014年7月ごろに粉砕型の大腿骨転子部骨折に対してショートネイルを用いて骨折観血的手術を施行しました。手術は特に問題なく終了しています。翌日から全荷重を許可しました。


術後も骨折部の転位が無かったので、術後2ヶ月程度で退院していただき外来フォローしていました。2014年11月の段階では疼痛もなく、単純X線像で著変はありませんでした。



Xp 1411




2014年12月に最近患側股関節を痛がるとのことで再診されました。単純X線像ではラグスクリューが大腿骨頭下にカットアウトしています。


Xp 1412




2014年11月と比較して、頚部の短縮を認めず明らかな偽関節と判断できなかったため、reverse Z effectと考えて、短いラグスクリューに入れ替えて固定型のエンドキャップに交換しました。


しばらく経過観察していたのですが、ラグスクリューが前方にカットアウトしたため、大腿骨転子部骨折後偽関節と判断して抜釘術+人工骨頭置換術を施行しました。


術前にCTを施行したのですが、単純X線像では分からなかった偽関節部(カルカーにみえる皮質の連続性が途絶えた部位)を確認することができました。


CT




結果的にはラグスクリューがカットアウトした段階でCTを施行していれば、ラグスクリューの入れ替えを省略して最初から人工骨頭置換術を決断できたと思います。


今回の症例から、大腿骨転子部骨折の術後は単純X線像だけでは偽関節の診断ができないことがあり、疑わしい症例ではCTを撮影して偽関節か否かを判断する必要があることを学びました。




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