先日、転倒後から右股関節部痛を訴えて歩行不能となった高齢者が入院しました。
単純X線像・CTでは明らかな骨折を認めませんでした。
念のためMRIを施行したところ、転子部にT1WI 低信号・T2WI 等~高信号・脂肪抑制画像では高信号の帯状領域を認めました。
画像上は、bone bruiseもしくは不顕性骨折(occult fracture)を疑います。身体所見では股関節の他動時痛は軽度のみで、少なくとも床上ではADL制限がありません。
一応、骨折だとは思いますが、治療方針をどうするかで悩みました。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (初版)では、occult fractureでは骨接合術を推奨すると記載されています。
しかし、エビデンスは無いとのことでした・・・。ちょっと無責任ですね(笑)。私は、しばらく免荷して仮骨形成を認めた段階で荷重訓練を開始すると、転位なく骨癒合が得られた経験があります。
早期に手術を施行するか否かは考え方次第だとは思いますが、私はoccult fractureで保存治療から手術治療へのコンバート例を経験したことが無いので、今回も保存治療を選択しました。
単純X線像やCTで骨折の有無を判断できない方に、リスクを取って手術を施行するのもどうか? と思ったのです。保存治療で骨癒合することを祈りつつ、慎重に経過観察しようと思います。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断
アクセスカウンター
- 今日:
- 昨日:
- 累計:
管理人によるケアネット連載コラム
管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
人気記事
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
カテゴリ別アーカイブ
QRコード
お気に入りリンク集
記事検索
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。
利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。
当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。
頚部の骨挫傷(不顕性骨折)は、接合を選択します。後に転位されて、人工骨頭になったら侵襲が大きすぎますから。
転子部の骨挫傷(不顕性骨折)は、MRI画像の変化(T1低信号・T2高信号)の大きさにより、骨接合か保存か考えます。変化が大きければ、それだけ荷重に抗する力が落ちると考えています。
保存を選んだ時には、ほとんどが骨粗鬆症であるため、テリパラチドを導入します。早期骨癒合を目指して!