今日の午前は外来でした。
脊椎圧迫骨折後の患者さんで、現在骨粗鬆症の治療をしている方が受診されました。


この方は多発性脊椎圧迫骨折があるため、かなりの円背をきたしています。幸いにも、背部痛や腰痛などは現在訴えられていません。


しかし、最近胸やけがするので、どうにかして欲しいという要望がありました。この方の体型は円背のために、お腹が少し出ています。


お腹が出ることは、円背のために腹腔の容積が小さくなったため発生します。そして、腹腔が小さくなったため胃が圧迫されて腹圧が上昇し、胃酸の逆流が起こりやすくなります。


つまり、この胸やけは逆流性食道炎(GERD)による症状なのです。円背そのものを治療する手段は無いので、基本的には逆流性食道炎の治療を行うことになります。


逆流性食道炎の治療は、酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)、またはヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)投与です。


通常は内科医師に投与をお任せしていますが、この方は内科に定期通院していません。そこで、今日のところはPPIを2週間処方した上で、内科を受診するように促しました。


逆流性食道炎(GERD)の治療では、PPIやH2ブロッカー投与以外にも生活習慣の改善が推奨がされています。生活習慣の改善項目は下記のごとくです。

① 脂っこいものや刺激の強いものを摂りすぎない 
② 食べ過ぎに注意する  
③ 食べてすぐに横にならない 
④ 寝るときに少し上半身を高くして寝る
⑤ お腹をしめつけない姿勢を心掛ける 
⑤ 禁煙する


しかし、薬物療法や生活習慣の改善を行っても、円背の存在のため逆流性食道炎の完治は難しいです。やはり円背を作らないことが重要で、骨粗鬆症の治療の必要性を改めて感じました。



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