少々遅れていますが、2月に福岡で開催された第45回日本人工関節学会での話題です。
「TKA感染の診断と治療」というシンポジウムで興味深い議論がありました。


福岡大学の毛利先生は、2003〜14年に同科で行ったTKA感染治療16例の成績を検討されました。インプラントは最終的に全例で抜去されたそうです。


起因菌はMSSAが8例・MRSAが6例で、感染から自施設加療開始までの期間が長い症例が多かったため、感染から抜去までの平均期間は152日でした。


治癒例と成績不良例の比較では、基礎疾患・感染時期・抜去までの期間などに明らかな差は見られなかったそうです。


日本骨折治療学会評議員160人に対してアンケートを行ったところ、「感染と診断あるいは強く疑った場合に最初に行う治療法」は、デブリドマンが約半数でインプラント抜去が15%でした。


一方、MRSAの場合には初期治療として32%がインプラント抜去と回答しており、バイオフィルム形成による難治化・耐性菌誘発・骨髄炎予防のためという理由が多かったそうです。  


感染時にインプラントが温存可能か否かは重要です。温存成功率は60〜80%との報告が多いので、これらを踏まえて米国感染症学会ガイドラインでは、まず温存を試みるとしています。


しかし、感染では明らかに異物が感染コントロールの障害となります。インプラント抜去のハードルが高いので、抜去しないで済むエビデンスを探しているのかもしれないと発言されていました。


「TKA感染の場合、コントロールが遅れた際の代償が大き過ぎるので、感染制御のためには可及的速やかにインプラントを抜去した方がよいと考える」と毛利先生は締めくくられました。


妥当な意見ですが、主治医の立場では初回で抜去するのは勇気が要ると思います。頭では分かっていますが、患者さんとの関係や技術面の難しさを考えるとハードルは高そうですね・・・。



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