先日の外来で、右股関節部痛を訴える60歳台後半の方が受診されました。
単純X線像では特に股関節に異常はありませんでした。


診察したところ股関節の回旋時痛もなく、どうも股関節由来の痛みではなさそうです。念のため鼠径部を触診しましたが、特に腫瘤を認めませんでした。


ただ、疼痛の種類が右股関節部全体に広がる重ダルイ疼痛でした。何となく違和感を感じたので、念のため外科に紹介したところ、鼠径ヘルニアとのことでした!


しかし、私には鼠径部に腫瘤を触知できませんでしたが、触診の仕方が悪かったのでしょうか?その点を外科医師に質問したところ、鼠径ヘルニアの診断には立位が必須とのことでした。


臥位で鼠径部に腫瘤を触知しないからと言って、鼠径ヘルニアを除外診断できないそうです。立位になると腹圧が高くなるので、立位時のみ鼠径ヘルニアが出現することがあるためです。


もしかしたら国試レベルの知識なのかもしれませんが、私にとっては初めて知ることでした。これからは立位での診察を最初に施行しようと思います。



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                       股関節学