先日、右母指から中指の突然発症した激烈な疼痛としびれを主訴にした60歳台の男性が初診されました。診察すると明らかに正中神経領域の神経刺激症状です。



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単純X線像では上記のように手根管内に小さな石灰化を認めました。発症機序と画像所見から石灰沈着性腱炎の一種だと診断しました。私は以前にも似たような症例を経験しています。


リリカとロキソニンを投与してしばらく経過観察していると発症後1ヶ月でかなり軽快しました。しかし、発症後2ヵ月で再度単純X線像を撮影したところ、石灰化はあまり変化ありませんでした。


おそらく沈着した石灰自体のボリュームによる正中神経の圧迫ではなく、周囲の炎症によって正中神経周囲の軟部組織が腫大して正中神経を圧迫していたのでしょう。


症状が激烈な場合には手術を施行して手根管の除圧を図るかどうかを悩みます。基本的には安静にしていると炎症は軽快するので、まずは保存療法を選択するのが妥当かなと思います。



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