医師として働いていると、環境が変化するのは異動のタイミングの時しかありません。
基本的には他の職種から攻撃される状況は少ないので、気を使うのは同じ科の中だけです。


同じ科の中では気心が知れている仲のことが多いので、精神的には非常にまったりして変化に乏しい生活となりがちです。このような環境に身を置くと時間が止まったような感覚に陥ります。


私もよくよく考えると世間の会社では中堅以上の年齢に差し掛かっているのですが、狭い世界の中で閉じていると自分の変化さえも気付かなくなります。


特に勤務医で医局人事で動いていると、自分の市場価値を客観的に観察する機会さえほぼ皆無の状況です。私の同期も医局人事から離れる者が多くなってきました。


医師免許があると、退局しても生活していくのに全く困りません。いや、正確に言うと全く困らないと思っていました。ほぼ自分の希望通りの職場に再就職できると思っていたのです。


しかし、実際に40歳前半で退局してエージェントで再就職先を探した友人の話しを聞いて考え方が変わりました。40歳台になると、意外なほど希望通りの再就職先が無いようなのです。


この原因のひとつは再就職先のポストの問題です。勤務医の場合、若ければ30歳台後半で科のトップになることがあります。


このような医療機関に40歳台の医師が就職することは、ポストが邪魔をして非常に難しくなります。受け入れ側にしてみれば、落下傘的に見知らぬ医師がトップに来るのに抵抗があるのです。


再就職する側にしてみても圧倒的な実力差があれば問題無いのですが、卒後10年もすると臨床的な能力の差は、経験年数よりも生まれ持った才能の差の影響をより多く受けます。


卒後15年の医師の方が、卒後20年目の医師よりも優秀であることは多々あるのです。こうなってくると医局の年功序列が無い状況下で、希望する職場に再就職することは難しくなります。


同様のことは医局人事でも発生しますが、基本的には年功序列なので丸く収まることが多いのです。しかし、旧帝や旧六以外の医局制度は崩壊に向かう趨勢です。


これからの医師は、卒後10年目以降のキャリアパスに対して、若い頃からある程度明確な意識をもっておく必要があると思います。



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