先日、両側同時人工股関節全置換術がありました。
両側罹患例が多いため、患者さんが希望すれば両側同時THAも選択枝のひとつです。


最近立て続けに何例か両側同時THAがあったので、従来の片側手術と比べてみました。まず両側同時手術のメリットですが、患者さんの負担が一度だけで済むことが挙げられます。


後療法に関しては片側例と比べて、多少入院期間が延びる(1週間前後)程度です。側臥位の際には半側臥位で対応すると、創部を圧迫しないので問題ありません。


技術的には反対側の手術時間が短縮することがメリットです。関節の性状や軟部組織の緊張度が似ているため、反対側の手術は「経験済み」の手術となることが多いからです。


一方、デメリットに関しては患者さんへの侵襲が大きいことです。単純に考えても2倍のストレスが身体にかかっているので、種々の合併症を併発するリスクが高くなることが危惧されます。


技術的な問題点は下肢長の調整ですが、片方の手術を終了後に単純X線像で確認することで片側手術と同じように脚長差の調整を行うことが可能です。


最後に病院経営の面からは、一般的に両側同時手術はトータルの収益を押し下げます。これは両側同時手術の場合でも入院期間はさほど延長しないためです。


この問題は施設のキャパシティーと関連しており、年間に施行できる症例数よりも手術希望者数が多い場合には、両側同時手術であっても収益性を損なうことは無さそうです。



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    初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


                   
    
                                    人工股関節全置換術