私は、人工股関節全置換術(THA)において内閉鎖筋温存手術を行っています。
1年以上も試行錯誤していまずが、最近ようやくコツを掴んで一定の質を保つようになりました。
今回の手術でも内閉鎖筋を完全に温存できており、抜群の後方安定性を獲得しています。手術時間は1時間30分ほど掛かりましたが、多少の手術時間延長を補って余りあると考えています。
では、内閉鎖筋温存手術における最大のコツは何でしょうか?
それは、「大腿骨頚部を短めに骨切りする」 です。具体的には頚部長を7~10mmにします。
えっ、たったそれだけ? そう、これだけで術野の展開が圧倒的に楽になります。頚部のクリアランスを良くすることは非常に有効です。もちろん、これ以外にも下記のようなコツがあります。
・ 寛骨臼下壁の切除
・ 関節包のT字状切開追加
・ リーマーの柄やホルダーを1時もしくは11時方向にして寛骨臼内に誘導する
しかし、最も術野の展開に影響するのは、「大腿骨頚部を短めに骨切りする」 でした。このことは、内閉鎖筋温存手術だけではなく、通常の後方手術や側方手術にも当てはまります。
術後の単純X線像ですが、やはり少し大腿骨頚部が短めですね。再置換術のことを考えると、できるだけ大腿骨頚部を温存した方が良いのでは? という意見もあるかもしれません。
しかし、昨今のセメントレスTHAの長期成績を鑑みると、今回の方(70歳台)に再置換術を施行せざるを得なくなる可能性はかなり低いと思います。これぐらいはアリだと思いませんか?
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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です