先日、講演会後の懇親会で第一三共の方とお話する機会がありました。
第一三共はさまざまな医薬品を製造販売していますが、最近の話題はイナビルです。


イナビルは国内4剤目の抗インフルエンザウイルス薬で、最大の特徴は一度の吸入で治療が完結することです。3剤目のラピアクタも1回投与ですが、点滴静注なのが残念なところです。


吸入薬にも関わらず1回投与で治療が終了することは画期的なことです。イナビルは、プロドラッグであり、吸入後に加水分解によって活性代謝物に変換されます。


この活性代謝物が長時間にわたって、ウイルスの増殖部位である気道や肺に貯留することでウイルスの増殖を抑制するため、一度の吸入で治療が完結するそうです。


臨床試験では、タミフルの5日間投与と同等の効果が確認されています。注意点としては、1回投与のため、失敗が許されないことです。


イナビルの吸入操作は若干複雑なので、医療機関(調剤薬局も含む)で医師や薬剤師などの医療従事者の目の前で、吸入操作を行う方が良いようです。


タミフルのように小児での異常行動には気を使う必要はあまりないようで、自分で吸入可能な児(おおむね3歳以上)であれば治療可能な点も優れています。


このように画期的と言ってよい薬剤なのですが、今年はインフルエンザがあまり流行していないようで、残念ながら(?)第一三共的には業績が芳しくないようです。


「インフルエンザが流行ったらいいですね」とも言えないため担当者さんへのフォローに困りましたが、良い仕事をする製薬会社であることは間違いなさそうです。




★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


 
一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。