昨日は非骨化性繊維腫(NOF)の患者さんを送り出したことを報告しました。
一方、この年代では骨腫瘍と同様に側弯症も長い年月をかけてフォローしなければなりません。


良性骨腫瘍と異なり側弯症はかなりプレッシャーを受けます。何故なら学校の検診でセレクトされてくるので、装具療法を開始するCobb角25度まであまり余裕が無い症例が多いからです。



潜在しているかもしれない神経学的異常や筋・系統疾患を除外して特発性(=原因不明)と診断した患者さんは、Cobb角によって、下記のようなフォローを行っています。


  1. Cobb角 15度以下 → 6ヵ月毎の経過観察 
  2. Cobb角 15~25度 → 3ヶ月毎の経過観察 
  3. Cobb角 25度以上で発育が1年以上見込まれる例は装具療法導入


多くの症例は②のCobb角が15~25度なので、3ヶ月毎に経過観察せざるを得ません。このため、経過観察している患児の数が多く、私の中でも緊張感のある(?)症例となります。


しかも、Risser grade 4までは簡単に行くのですが、4から5にはなかなか至らないため、「もう卒業」の時期がなかなか来ないのです・・・



ちなみに、Risser signとは、骨盤の腸骨稜にみられる骨端核を用いた小児の骨の成長の評価方法のひとつです。骨端核が全く出現していない状態がgrade 0です。


                        

Risser sign


The Scoliosis Research Society (SRS) のホームページから転載



上図のように上前腸骨棘から腸骨稜の1/4までがgrade 1、1/2までがgrade 2、、全域にわたり腸骨と癒合したらgrade 5で、骨の成長が停止したと判断され装具治療終了の指標となります。


ちなみに装具療法は、側弯の矯正効果をあまり期待できず、側弯が増悪することの防止効果が目的となります。したがって側弯が増悪する前に治療開始することがポイントになります。






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