先日、踵骨にできた動脈瘤様骨嚢腫(aneurysmal bone cyst: ABC)に対する腫瘍切除術を行いました。ABCは骨病巣が動脈瘤様に膨隆する骨腫瘍類似疾患です。


嚢腫内に血液が充満し、内壁は線維性結合織によって構成され大証の血管腔を認めます。鑑別診断として骨巨細胞腫、単純性骨嚢腫、血管拡張型骨肉腫が挙げられます。


治療は手術治療で掻破・骨移植術が一般的です。ただし、術後の再発率は19~44%と高いです。大学の腫瘍班の先生にお伺いしたところ、再発防止のために下記の方法を勧められました。


  1. 物理的に内壁を掻破
  2. 液状フェノール(88%以上のもの)をツッペルにつけて内壁を2~3回こする
  3. 終了したら無水エタノールでフェノールを中和する
  4. 最後にα-TCPを充填する


単純性骨嚢腫などでは自家骨に置換されるβ-TCPを使用しますが、自家骨やβ-TCPでは高率に再発するので、α-TCPを使用するのがポイントです。


術後後療法に関しては、今回は踵骨なので3週間免荷の後に部分荷重を開始して、術後2ヵ月で全荷重まで持っていく予定です。



追記:
病理検査の結果はABCではなく骨巨細胞腫(GCT)でした。 大学の腫瘍の先生に確認したところ、下記のような対応を指示されました。

  • 再発率が高いので、2~3ヵ月に一度の頻度でXp確認が必要
  • 2年以降は再発率が低くなるので、最初の2年間はしっかりフォロー
  • もし再発すればランマーク(デノスマブ)を投与する 




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