先日から、頚椎椎間板ヘルニアによる神経根症に対する治療に難渋しています。患者さんは30歳台女性で、フルタイムの仕事をされています。強い症状が2ヵ月ほど続いています。
初診時の身体所見では、下肢痙性や上肢巧緻障害は認めないものの、Spurling testやJackson testは強陽性でした。単純X線像ではC5/6の椎間板高がわずかに減少していそうです。
MRIではC5/6で椎間板変性と椎間板ヘルニアによる椎間孔の狭小化を認めました。画像所見と身体所見が一致するので診断に問題はありません。しかし、ここからが問題です。
まずは、ロキソニンを処方してみましたが、全く効果ありませんでした。まぁ、仕方無いなと思ってリリカを処方するも75mgで効果なし・嘔気とふらつきありで断念しました。
次にトラムセットを投入するも、4錠服用しても全く効果なし・・・。このあたりから、ちょっとマズイなと感じ始めました。下記のように手変え品変え薬物治療を試しましたがことごとダメでした。
- ロキソニン → 効果なし
- リリカ75mg → 効果なし・嘔気とふらつきあり
- トラムセット4錠 → 効果なし
- モービック1錠 → 効果なし
- サインバルタ20mg → 効果なし・嘔気とふらつきあり
- プレドニン10mg → 効果なし
- ノイロトロピン8錠 → 効果なし
- デュロテップMTパッチ2.1㎎ → 効果あり・嘔気あり
- デュロテップMTパッチ2.1㎎1/2 → 効果あり・嘔気あり
- デュロテップMTパッチ2.1㎎1/4 → ?
現在、No. 10まで来ています・・・。これで効果無ければどうしようと勘案中です。頚椎牽引は、効果不明瞭な割に時間を喰うので、忙しい社会人にお勧めできるシロモノではありません。
MRIではC5/6でもflow spaceが保たれており脊髄症はないので、頚椎前方除圧固定術は避けたいところです。次はペインクリニック科に依頼して星状神経節ブロックなどでしょうか???
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。
難渋するCSRは時々経験します。私はふらつき・眠気に対して葛根湯を併用しています。これでかなり副作用が抑えられると思います。
あとは頸部硬膜外ブロックでしょうか。今の所これでなんとかなっています。
今後の経過を教えて頂けると助かります。