先日、病棟に行くと顔見知りの80歳台後半の患者さんが、ナースステーションに車椅子で座っていました。 ??? と思ってスタッフに確認すると、脱水症で入院しているとのことです。


ナースステーションに車椅子で座っていた理由は、高度の認知症があるため目を離せないからだそうです。何年も外来通院されていたのですが、全然気付きませんでした・・・


いつもはご家族の付き添いで受診されます。ご本人とお話ししても、外来では普通に会話が成立していました。このため、認知症が高度であるとは露ほども思っていませんでした。


本当は認知症が無く、単なる冤罪(?)でナーステーションに車椅子で座っているのではないのか? と何度も確認しましたが、やはり高度の認知症がありそうです。


持参薬の鑑別を行うと、私が処方した薬を大量に持参されているようです。どうやら、私が処方した薬剤を、ほとんど服用していなかったようです。


何ということでしょうか! 外来では認知症の存在に全く気付きませんでした。これは由々しき問題です。「ぼちぼちなようです」と家族が言ってくれていたので安心していました。


しかし、家族は服薬していないことを知らず、私は服薬しているものと信じていたのです。ご本人は、疾患の存在さえ覚えていないのでしょう・・・


認知症の方の中には受け答えが一見しっかりしているため、初めて会う人では認知症の存在を分からないケースがよくあるそうです。


それにしても数年通院されている患者さんに認知症があることを気付かなかったことは、大いに反省するべきことです。年に一度は、季節や日時が言えることを確認した方が良さそうです。




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