院内に同種骨があると何かと便利だろうなと漠然と思ったことはないでしょうか?
今日は、実際に同種骨があると便利なのかという視点で検討してみました。


まず、骨移植術が必要な場面は限られています。THAやTKAのような関節外科ではさほど需要はありません。ほとんどのケースは、自家骨のみで対応できてしまいます。


そして、外傷で骨欠損のある症例では、人工骨で対応可能なことが多いです。少量の骨欠損では、同種骨にコスト面での優位性はありません。


何よりも同種骨は使用するときに大きな制約があります。それは術前に同種骨移植の同意書を取得しておく必要性があることです。


このため、術中に突発的に骨移植をする必要性が発生しても、同意書が無い限り原則的には同種骨で対応することは困難です。このため、同種骨があっても「お守り」にはならないのです。



では、どのような場面で同種骨に優位性が発生するのかというと、現時点では圧倒的に脊椎外科の固定術です。現在のようにXLIF全盛の状況では同種骨の需要が高まります。


同種骨移植は、大量の移植骨が必要な場面でその真価が発揮されます。そして、現状では多椎間の脊椎固定術が該当します。とにかく大量の骨が欲しい(笑)。


人工関節センターと脊椎センターを併設している施設では、人工関節センターで採取した同種骨を脊椎センターが定期的に使用するという一連の流れができています。


もちろん、関節外科においてもIBGのように大量の移植骨が必要な場面はあります。しかし、人工関節センターといえども、毎週のようにシビアな再置換術症例が続くことは珍しいです。


以上を総括すると、同種骨がさほど普及しない理由を何となく理解できました。同種骨は良い治療手段だと思いますが、現時点では使用するのにハードルが少し高いようです。




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