先日、寛骨臼骨折の患者さんが搬送されました。
寛骨臼骨折は、下肢大関節の関節内骨折なので予後不良な外傷のひとつです。


以前、日赤に勤めていた頃には、ilioinguinal+Kocher-Langenbeck approachなどを駆使して両柱骨折の手術を何度か施行したことがあります。


しかし、術後に「完璧な整復位を獲得できた!」と思っていても、みるみる股関節裂隙が狭小化してしまった症例があり、とても難しい外傷だという認識を持っています。


さて、寛骨臼骨折の分類は、The Judet and Letournel classification for acetabular fracturesが有名です。この分類は下記のごとくで、2つの大きなカテゴリーに分類されます。



The Judet and Letournel classification for acetabular fractures





Elementary fractures は後壁、後柱、前壁、前柱、横骨折の5つからなり、Associated fracture は2つ以上のElementary fracture が合併したものです。


これらのタイプ分類はCTの所見から判断します。3D-CTができれば問題無いのですが、機種が古くて大腿骨との切り分けが難しいようなら、単純な寛骨臼の矢状断でも判断できます。


ちなみに、今回の症例は両柱+後壁骨折でしたが、幸い(?)にも荷重部関節面の転位が2mm未満だったので保存治療を選択しました。


患肢の免荷を厳守して骨折の転位増大を防ぎつつ、早期離床を図って積極的にリハビリテーションを進めていこうと思います。




★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。