先日、勤務している病院に3年前にTKAを施行した患者さんから電話がありました。
市民検診で肺に異常陰影を指摘されたそうです。
近医に行ったところ、基幹病院へ紹介されました。その基幹病院から3年前の所見の問い合わせがあるかもしれないので、その時はヨロシク的な内容だったそうです。
私は、大急ぎで当時の画像とカルテを確認しました。素人目には肺に明らかな異常所見を認めず、カルテには放射線科医師による「明らかな異常所見なし」との記載がありました。
患者さんには悪いですが、少し安堵しました。 私たち整形外科医は術前検査などで胸部Xpを診る機会が多いですが、自信を持って所見を読影できる人はあまり居ないと思います。
診断の正確さを期すのなら胸部CTですが、全例に施行するのはナンセンスです。 私の場合、次善の策として、放射線科医師に全例読影依頼しています。
放射線科医師は非常勤なので読影結果が返ってくるのに1週間以上かかりますが、 読影結果の確認忘れをしないように、カルテにしつこく「読影結果の確認要」と記載し続けます。
もし医療訴訟になった場合にどうなるのかは分かりませんが、少なくとも責任の所在を放射線科の読影医師に転嫁できるのではないかと思っています。
今回の件で感じたのは、胸部Xpは頻回に施行する検査ではあるものの、思わぬところに落とし穴がありそうだということです。
撮影しっぱなしは論外ですが、自分の読影能力を過信しない方がよいと思います。少なくとも整形外科医的には「consult a doctor」 を心掛けるべきではないでしょうか。