ここ3ヵ月ほど、70歳台の男性を ” 両側肩関節周囲炎 ” という診断で治療を行っていました。延々と関節注射を施行していましたが、さっぱり効果がありません。


トラムセットを4錠まで増量したのですが、こちらも全く効果がありませんでした。症状がきついためか、半ばノイローゼのようになっています。


なぜ、症状が軽快しないんだろう? もしかしたら精神的な問題点があるのかもしれないなと思っていました。しかし、両肩に加えて頚部~上腕・肩甲背部にかけての疼痛が出現しました。


もしや、リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica; PMR)では? と思い、血液生化学検査を施行しました。案の定CRP/ESR 1.81/70と高値でした。


PMRの診断基準にはいくつかありますが、私はリウマチ病学テキストに掲載されている下記のような診断基準を使用しています。


  1.  両側の肩甲骨の痛み、またはこわばり感
  2.  発症後2週間以内で症状が完成
  3.  赤沈値が40mm/hr以上
  4.  朝のこわばりが1時間以上
  5.  年齢が65歳以上
  6.  抑うつ状態あるいはさらに体重減少
  7.  両側上腕筋の圧痛



上記のうち3項目以上を満たすもの、もしくは1項目以上を満たし臨床的にあるいは病理的に側頭動脈に異常を伴うものをprobable PMRとします。


今回の方は6項目を満たしたのでPMRと診断しました。ステロイドの有効性の確認は、PMRの診断確定に役立ちます。PMRの治療は、ステロイドの経口投与です。


プレドニン(PSL) 10mgを投与したところ、劇的に症状が改善しました。「先生は名医です!」と言われましたが、PMRの診断まで3ヵ月もかかっているので「迷医」なのですが・・・


私の場合、大阪大学アレルギー内科で紹介されているスケジュールを参考にして、若干少なめですがプレドニン(PSL) 10mgから下記のスケジュールで開始します。


  • 3-4週  PSL 10mg
  • 2-4週  PSL 7.5mg
  • 2-4週  PSL 4mg
  • 2-4週  PSL 2mg
  • 2-4週  PSL 1mg
  • 2-4週  PSL 1mg を隔日投与



上記の通り暫減できればよいのですが、きれいにステロイドを終了できないことが多いです。PSL1-2mgぐらいから症状が再燃することがよくあります。


再燃の場合は、その時点でのステロイド倍量投与することで、炎症所見を改善する必要があります。それでも、なかなかPSLを終了できないので、悩むことが多いです・・・。




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