先日、脊椎関節炎(spondyloarthritis:axial SpA)についてご報告しましたが、COX-2阻害剤(セレコックス)だけでは、なかなか疼痛コントロールが難しい状況が続いています。


う~ん、どうしたものか。。。現時点では脊椎関節炎を完全に治す治療法は確立されていません。そして、疾患活動性は約10年持続するといわれています。


このため治療目的は、疾患活動性が高い時期の症状緩和となります。このあたりはMTX登場前の関節リウマチの治療方針と似ています。つまり、現時点では決定打が無いのです。


治療ではリハビリテーションが大切であり、スポーツや体操を通じて体の柔軟性を維持します。そして、疼痛やこわばりの緩和を目的として、薬物治療を行います。


薬物治療では、骨化抑制作用も期待してCOX-2阻害剤を投与します。特にCRPが上昇している症例では、COX-2阻害剤の継続投与が骨化進行抑制に特に有用であるとされています。


一方、CRP陰性症例では、COX-2阻害剤投与による骨化進行抑制効果をあまり見込めません。COX-2阻害剤といえども、長期投与は腎障害や消化管障害を併発する危険性を高めます。


この観点から、COX-2阻害剤投与は痛みに応じて使用して、痛みが無ければ自己調節で減量、休薬することが望ましいのではないでしょうか。



今回のようにCOX-2阻害剤で制御が難しい症例では、サラゾスルファピリジンなどの内服薬が有効といわれています。ただ、私の少ない経験では著効例はほぼ無かったような・・・


こうなってくると、生物学的製剤の使用を検討することになります。しかし、場末病院で脊椎関節炎に対して生物学的製剤を開始するのは、ちょっと荷が重い気がします。。。






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