先日のブログ内で下記のような質問をいただきました。




私は以前からREITに投資しており、現物不動産には投資したことがありません。 いくつかの理由があります。

現物不動産に投資するなら、生半可な知識で参入したらプロの餌食になるだけだと思ったこと。 物件選択、客付け、管理、修繕費用、業者交渉の手間。 空き室、未払い、不良住人、事故物件、火事、地震などのリスク。

下手に不人気物件に手を出してしまったら、湯沢のリゾートマンションのように、売りたくても売れないババ抜き物件を抱えてしまうリスク・・・

かつて不動産投資を少し勉強したことがありますが、これだけのリスクがあることに気づいて、とても参入する気になれなかったのです。

いっぽうREITなら簡単に参入できるし、REITでも資産分散やインフレリスクへの対処ができます。 だから私は、REITが現物不動産に劣るのは、節税効果だけだと思っているのです。

医師の仕事をしつつ、現物不動産投資に成功しておられる先生は本当にすごいと思います。 もしよろしければ、REITという便利な不動産投資法のある現代において、あえて現物不動産投資を続けておられる理由をお聞きしたいと思った次第です。

 



なるほど、確かにそういう考え方もありますね。現物不動産投資のリスクについて非常によく勉強されていると思いました。


実際、私は2004年に不動産投資を開始してから13年間で、不良住人・住人逮捕・孤独死、火事(ぼや騒ぎで消防車出動)を経験しました。また、空室・未払い・漏水などは日常茶飯事です。


現在は都市中心部の自動運転可能な物件に資産組み換えしたため、かなり楽になっていますが、それでも客付け、管理、修繕費用、火災・地震リスクは負っています。


ただ、金利も含めて何らかのヘッジはいずれも可能であり、究極的には慣れれば全てコントロールできます。自動運転化の可否は、知っているか否かだけの問題なのです。


さて、私が思う現物不動産投資のメリットは下記のごとくです。これらのメリットは、残念ながらREITから享受することはできません。

  1.  自分の力でコントロールできる部分が大きい(区分を除く) 
  2.  10倍近いレバレッジが効かすことも可能
  3.  節税効果を見込める場合がある
  4.  ビジネスのトレーニングとなりうる
  5.  競争相手のレベルが低い(不勉強な地主系オーナーが多い) 



一方、REITのデメリットは下記のごとくです。メリットを挙げずにデメリットだけ強調していることはご容赦ください。

  1.  首都圏に物件が集中し過ぎている
  2.  現金購入が前提となる
  3.  不動産経営の経験値を積めない
  4.  殺菌され過ぎており、通常期では投資メリットに乏しい(利回りが低すぎる)
  5.  スポンサーと利益相反関係にある構造上の問題
  6.  売却以外は、自分の力でコントロールできる部分が無い 


確かにREITの原資は不動産ですが、事実上はペーパーアセット(紙の資産)です。特に②⑥は致命的です。


とはいうものの先日のブログでお伝えしたように、私も2008~2009年に購入したREITを大量に保有しています。分配金上昇の効果もあり、購入価格に対する表面利回りは約9.3%です。


この程度の利回りを確保できれば④の問題はクリアできますが、チャンスの窓は18年間で1年ほどしか開きませんでした。 まさに期間限定の投資です。


ゼロから始めて純資産億越えを目指すのなら、レバレッジの利く現物不動産は避けては通れないと思います。金融資産のみではCF確保が難しく、経済的自由に到達しにくいからです。


ただ海外不動産投資に関しては、REITもアリだと思っています。特に国内で現役で働いている医師にとっては、節税効果を考えても海外現物不動産投資はハードルが高いと思います。


以上をまとめると、現物不動産 vs REITの対立軸ではなく、チャンスの窓が開けば両方とも取りに行く姿勢で良いのではないでしょうか。


REITは素晴らしい投資商品ですが、不動産ではなくペパーアセットです。その点を十分に認識して、数年に一度のチャンスの窓が開くのを虎視眈々と狙っていきましょう!
 




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