先日のブログのコメントで下記のようなご質問をいただきました。
不動産所得、事業所得について、公立病院の医師は公務員として兼業禁止が適応されると思うのですが、先生はどの様にケアされておりますか?(例えば、今、私立の病院にいるとしても人事により変わることはあり得ると思うのですが…)。
自分のリサーチでは、5棟10棟または500万以下の事業なら申告で認められるという事だったのですが、現実的にはどの様にされてるのか気になった次第です。
う~ん、正直言って資産形成と副業規定を関連付けて考えたことはありませんでした。私も公立病院や日赤で勤務していたことがあり、アルバイトに関しては気を使っていました。
しかし、不動産経営や各種スモールビジネスは医療とは関係無い分野のため、副業規定に引っかかると考えたことは無かったのです。
そもそも私は、プライベートの時間のことで勤務先にとやかく言われる筋合いは無い!と強気なのですが、メイン病院の給与所得の割合が全体の1/4程度に過ぎないからかもしれません。
つまり、メイン病院を辞めることになっても痛くも痒くもないと・・・。しかし、まだ勤務先からの給与所得に100%頼っている人にとって、イザコザは避けたいところです。
医局派遣の医師ならまだマシでしょうが、ピンで就職している人にとっては切実な問題かもしれません。そこで、兼業・副業規定について考えてみました。
まず、そもそも何故副業規定なるものが存在するのか? 一般企業では、主には下記のようなことが理由だそうです。ちなみに法的には、公務員以外は兼業することに問題はありません。
- 副業によって遅刻や欠勤が多くなるリスク
- 会社の利益が損なわれるリスク(競合他社で仕事をするなど)
- 会社固有の技術やノウハウが漏洩するリスク
- 会社の名前や名刺を使って副業を行なうリスク
- 副業によって会社の品位を落とすリスク(違法行為や風俗関連など)
確かに医療関係であっても、経営者目線では①④⑤の可能性はゼロではありません。雇用主への義理を考えると、①④⑤で迷惑を掛けないようにすることは最低限のマナーでしょう。
ただ、これだけの理由で従業員の勤務外時間にまで制限を掛けるのは、いささかやり過ぎだと思うのは私だけでしょうか?
まぁ、なんだかんだ言っても波風を立てるのは得策ではありません。そこで下記に兼業・副業規定対策を考えてみました。
① 資産所有法人
私の不動産経営者仲間でサラリーマン大家は、地主系大家が多いです。投資系大家は専業やサラリーマンをリタイアした人が大半で、そこそこの資産規模で兼業なのは私ぐらいです。
まず地主系大家ですが、地元の公務員の方が多いです。地方公務員の重要な人材供給元として、地元の名士があります。多くは古くからの地主で、家業として不動産経営を行っています。
このため、家業に携わることが全否定されると、特に地方公務員では大問題となります。私の友人の公務員兼不動産経営者は、比較的堂々と家業を行っています。
しかし、家業であることだけが理由ではありません。物件を法人所有している方が多く、表面上は本人が不動産経営をしていることが分かりにくいことも原因だと思われます。
そして、資産所有法人の社長が配偶者であれば、副業規定にひっかかる可能性は全く無いはずです。ただし、この場合は配偶者との関係を盤石にしておく必要があります(笑)。
② 不動産経営 = 投資(?)
副業規定の厳しい会社であっても、投資を禁止されることはありません(金融関係を除く)。そして、不動産経営は実質的に「経営」というよりは「投資」の側面が強いです。
このため、本人が「経営」しているつもりであっても、第3者からすれば「ああ、不動産投資ね」という感じになります。副業ではなく投資であると言い逃れできるかもしれないのです。
ちなみにプライベートでの投資が禁止されている金融機関勤務のサラリーマンは、金融資産投資は不可ですが、不動産投資はOKのようです。
2008年のリーマンショック時に首切りにあった外資系金融機関勤務の方が、それまでの副業を「本業」に変えるケースが続出しました。
優秀な彼らにとって、不動産投資の世界は草刈り場だったようです。医師は彼らと比べても遜色無いはずですが、結果を出している人がほとんど居ないのは残念なことです・・・
③ 働き方改革
安倍政権が進める「働き方改革」では、兼業・副業を普及させる方向です。少子高齢化がすすむと、労働力不足が大きな問題になります。
このため、国が旗を振って兼業・副業を普及させる政策を打ち出しています。大企業から始まる流れですが、徐々に中小企業にも浸透していくでしょう。
公務員は公的な役割が期待されているのですぐには難しいかもしれませんが、政府のお膝元なので方向性としては兼業・副業を認める方向になるのではないでしょうか。
ちなみに公務員では「5棟10棟または500万以下の事業なら申告で認められる」そうです。最初は青色申告の事業的規模を連想しましたが、公務員の副業規定で流用されているようです。
以上、副業規定について考えてみました。確かに経営者の立場では、従業員が副業や兼業に精を出しているのをみると、腹立たしい気持ちになることはよく理解できます。
私だったら、給料を払っているんだから24時間働いて200%貢献してくれ!と思うでしょう(笑)。ただ、従業員の一生に対して100%の責任を負わされるのは勘弁してほしいです。
このため、給料に見合う貢献は期待するものの、プライベートの時間はご自由に・・・というスタンスが倫理的にも妥当ではないでしょうか。
そもそも医療業界は、古き良き日本の終身雇用制度とは、もともと無縁の世界でした。雇用主から給料をもらうのではなく、自分の力で給料を稼ぐ。。。
給与所得者という客観的な事実は同じであっても、「もらうのではなくて稼ぐ」という内面の気持ちを行動の規範にしてはいかがでしょうか。
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