先日、40歳台女性が両膝関節水腫で初診しました。
受診目的は「両膝の水を抜いてほしい」です。


診察すると両膝ともパンパンに張っていて、やや白濁した関節液を60mlずつ穿刺しました。問診では関節リウマチに対して某クリニックで「漢方」の治療を受けているそうです。


普段は、近くの病院で1~2週に一度の頻度で関節穿刺を受けているそうですが、その日はたまたま休診だったので、私が勤めている医療機関を受診したようです。 


関節リウマチは、明らかにコントロールされていません。その「漢方」の治療を行う某クリニックには3年ほど通院しているのですが、この1年ほどは同じ状況だそうです。。。


そんなクリニックが本当に存在するのかと思って、外来終了後にネットで調べてみると、確かにありました。全国的に有名なクリニックのようで、唯我独尊な治療(?)を展開しています。


ステロイド剤やDMARDsは全否定で、漢方だけで「完治」 できると謳っています。関節リウマチで「完治」ですか・・・。経歴をみると、さすがにリウマチ専門医ではなさそうです。


かなり遠方にあるクリニックなのですが、交通費も惜しまず定期的に通院しているようです。 う~ん、アナザーワールドが広がっていることを垣間見ました。


ここまでの事実を勘案すると、このクリニックが悪いと思う方が多いでしょう。しかし、私はそうは思いません。何故なら、その患者さんは既存医療に高度の不信感を抱いていたからです。


このような既存医療に不信感を抱く一部の患者さんの熱烈な需要があるために、このクリニックには全国から患者さんが集まってくるのでしょう。 


そして、その一因を作っているのは、営利目的のためには手段を選ばないマスコミの姿勢だと思います。過度の偏向報道や近藤理論礼賛も、売れれば何でもOKだからです。


つまり「エビデンス無視の医療機関」「既存医療に不信感を抱く患者さん」「利益のためには手段を選ばないマスコミ」が三位一体となって、この不幸な状況を作り出しているのです。


もちろん、医療機関は免責ではありません。自由診療はもちろん、保険医療においても、 極端な行動に走る医師のチェック機構が存在しないことは、由々しき問題ではないでしょうか。。。






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初学者が関節リウマチの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です