先日、踵骨骨折後後遺症の患者さんを診察しました。初回受傷は10年ほど前です。それなりに良好な整復位を得ているのですが、それでも頑固な疼痛が残存しています。
踵骨はその形態が複雑です。CTにより骨片転位の把握が可能であるものの、技術的に完全な解剖学的整復位を獲得することが難しく、変形癒合から後遺障害を残しやすい骨折です。
後遺障害は、主に骨関節、筋腱、軟部組織に由来しています。以下に変形治癒による障害の診断と治療をまとめました。
骨関節
- 変形性距骨下関節症 → 経年的に疼痛緩和することが多いので足根洞にストロイド注射
- 足底骨突出変形 → 診断は容易。足底板による突出部の免荷、突出部切除術
筋腱
- 踵骨外壁の膨隆、横径拡大による腓骨筋腱炎 → 腓骨筋腱腱鞘にストロイド注射
軟部組織
- 扁平足障害 → 足底板。稀に踵骨隆起弯曲骨切術などの手術療法
- アキレス腱停止部の骨棘形成 → 足底板、ストロイド注射
今回の方は、踵骨外壁の膨隆と横径拡大による腓骨筋腱炎だったので、腓骨筋腱腱鞘にストロイド注射を施行しました。効果はまずまずでした。
私の経験では、踵骨骨折後の後遺障害として、腓骨筋腱炎が多い印象です。そうであるのなら、やはりストロイド注射がよく効きます。
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