不顕性骨折(Occult fracture)の治療で、少し迷うことがありました。80歳台の高齢者が転倒後に左股関節を痛がるとのことで初診されました。


単純X線像では大転子部に骨折を疑いました。念のためMRIを施行すると、大転子骨片だけではなく、転子部にも骨折を認めました。



MRI - コピー




身体所見としては左股関節の自動運動可能であり、大腿骨の軸圧痛もありません。そこそこの認知症なので、入院治療自体を家族が渋っていました。


う~ん、治療をどうするか。。。 患者さん本人は認知症もあるためか車椅子移乗も介助下に可能な状態です。ひとまず、保存時に経過観察することにしました。




1回目転倒後 - コピー



上記は受傷から1週間後の単純X線像です。認知症があるので勝手に全荷重しているのですが、特に転子部の転位増大を認めませんでした。


これはイケるかも、、、と期待していると、次の週に再転倒したとのことで救急搬送されました。今度はしっかり転位してしまっていました。。。




2回目転倒後 - コピー




結局今回は2度目の転倒というアクシデント(?)があっため、occult fractureが全荷重歩行下で骨癒合するのか? という命題はよく分かりませんでした。


文献的には保存治療で問題なく骨癒合するという報告が多いようですが、実際に私自身の経験はありません。次があれば、おそらく保存治療を選択すると思います。






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