昨日、最近の投資関係の事件では最悪のニュースが飛び込んできました。
すでにご存じの方も多いと思いますが、コインチェックの不正引き出し被害です。


同社によると、2018.1.26に日本円にして580億円相当のアルトコインのXEM(ネム)が、不正に引き出されていることが判明しました。


コインチェックは後発組ながら、ユーザーフレンドリーなプラットフォームと複数のアルトコインへの投資も可能なことを武器に、急速に存在感を高めた仮想通貨取引所です。


日の出の勢いのコインチェックでしたが、580億円相当のXEM不正引き出しが事実であることが判明したので、同社の破綻は不可避と思われます。


仮想通貨の取引所の破綻としては、2014年のマウントゴックスが有名です。しかし、コインチェックが破綻すると下記理由のために、その影響は比較にならないほど大きいです。


  1.  2017年に仮想通貨が暴騰して大量の億り人が発生した
  2.  仮想通貨の売却益は雑所得
  3.  事件が2017年ではなく2018年に発生した
  4.  2018年の仮想通貨はダウントレンドである



順番に説明します。まず①ですが、1億を超える利益を上げた億り人が大量発生しました。多くの人が、2017年に集中して大きな利益をあげたことになります。


今回のケースでは、Buy & Holdで利確していないバーチャルな含み益に甘んじている人はまだ幸運です。この場合には単に資産がゼロになるだけだからです。それは何故なのか? 


答えは仮想通貨の税制にあります。②の仮想通貨の売却益は雑所得となります。4000万円以上の利益を上げると、所得税45%+住民税10%=55%もの税率になるのです。


例えば、2017年に1億円の利益をあげた人は2018年3月に約4000万円の税を支払う必要があります。この税支払いは、所有している仮想通貨を売却して現金化します。


しかし、もしコインチェックが破綻すると、資金引き出しが不能となるので税の支払いができません。今回の事件が2017年に発生したのであれば、雑損として利益と相殺できます。


しかし、③のとおり年度を越してしまっているので、2018年のコインチェック破綻の損失を、2017年の利益と相殺することはできません。


つまり、2018年現在で資産ゼロにも関わらず、4000万円もの納税義務だけが残っている最悪な状態なのです。


仮想通貨市場が上昇トレンドなら挽回可能かもしれませんが、④のとおり最高値の半分程度の価格まで下落しているのが現状です。少なくとも、B&Hでは挽回は難しそうです。


更に非情なことに、日本国内に住んでいる限り、税金滞納に対して税務署は死ぬまで追っかけてきます。仮に自己破産しても税金滞納は免除されないのです。


ここまでを要約すると、①コインチェックで利益確定して億り人になった人で ②資金をコインチェック内で保管している人は、税支払いの無限地獄に落ちる可能性があります。


残念ながら、かなりの数の人が上記に該当することが予想されます。今回の騒動から一般投資家が得た教訓は下記のごとくです。


  • 投資する際には常に退路を意識する
  • 退路とは、投資対象の流動性と預け先の破綻リスクの回避


単にアルトコインのラインナップが豊富というだけでコインチェックを推奨している人が多かったですが、投資の鉄則を全く理解していないと言わざるを得ません。



W.バフェットは、投資で勝つためには下記の2つのルールが重要であると述べています。
  • ルール1: 絶対に損をしないこと
  • ルール2: ルール1を絶対に忘れないこと。


今回の事件では、改めて上記の大切さを思い出させてくれました。


※ 2018.1.27 午前8時時点で、コインチェックの破綻が確定しているわけではありません





★★  医師のための金融資産形成術  ★★


資産家および医師を対象として、2015年10月に開催した本ブログ管理人による 「金融資産形成術セミナー」 の動画、および講演で使用したスライドです。



NY夜景

      



勤務医・開業医の種類に関わらず、医師が資産形成する際には下記の3つを組み合わせることで効率良く資産形成することができます。


1. 医師免許をベースにした人的資産からのキャッシュフロー
2. 不動産からのキャッシュフロー
3. 金融資産投資の技術


①②で得られる安定したキャッシュフローを元手にして、③の金融資産投資技術を用いて資産形成するのです。しかし、多忙な医師が金融資産投資で結果を出すのは難しいのが現実です。


一方、金融資産投資は買値で投資収益性が決まります。 ”多忙な医師がいかにして金融資産を安く買うか?” という命題を解決するため、私は超長期逆張り投資戦略を選択しています。 


今回の「金融資産投資術セミナー」は、資産形成マニュアルで提示した資産形成手法における金融資産投資の各論です。築古木造戸建投資は「守」、金融資産投資は「攻」という位置づけです。


築古木造戸建投資の「守」 と 金融資産投資の「攻」の組み合わせが、安定的な所得のある医師の資産形成における有力な選択肢のひとつと考えています。