Medical Tribuneに興味深い記事がありました。
高尿酸血症の診療で直面する3つの問題 です。以下に要約しました。




問題①:病型分類は必要か  


高尿酸血症には、尿酸排泄低下型、尿酸産生過剰型、混合型の3つの病型が存在します。病型分類の目的は、高尿酸血症の病態に即した治療を行うことです。


従来、副作用対策の面から病型に応じた薬剤選択が重要だとされてきました。しかし、新しい薬剤の有効・安全性は病型に左右されないとする臨床報告があります。


フェブキソスタット、トピロキソスタットなどの新しい尿酸生成抑制薬を使用する場合は、病型分類は必ずしも必要でなく、むしろ、薬剤選択の上では腎機能のチェックが重要です。


腎機能の低下した患者には、アロプリノールや尿酸排泄促進薬は避け、フェブキソスタット、トピロキソスタット
などの新しい尿酸生成抑制薬を優先すべきだそうです。




問題②:無症候性高尿酸血症に積極的に介入するべきか


米国リウマチ学会(ACR)や欧州リウマチ学会(EULAR)のガイドラインでは、高尿酸血症の治療対象は痛風に限定されており、無症候性高尿酸血症は明示していません。


無症候性高尿酸血症への介入の是非が議論されるようになったのは、高尿酸血症は痛風の原因となるだけでなく、高血圧、腎臓病、心血管疾患などを合併しやすいからです。


まだ議論の余地はありますが、無症候性高尿酸血症でも腎障害の進展予防の点から、あるいは痛風の発症予防の点から、薬物介入の意義がある可能性があります。




ポイント③:尿酸はどこまで下げてよいのか


最近の研究では、血清尿酸値と腎機能や心血管危険因子との関係はUカーブあるいはJカーブであることが示され、血清尿酸値は低過ぎることも問題である可能性があります。


低過ぎる血清尿酸値はパーキンソン病、認知症などの神経変性性疾患に関連する可能性も指摘されており、疫学研究では血清尿酸値が高いほどこれらの疾患の発症率は低いです。  


このようなことから、痛風が重症で厳格な尿酸管理を目指す場合でも、血清尿酸値3mg/dL以下にはしない方がよい可能性が高いです。







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