先日、人工骨頭置換術がありました。
私は人工骨頭であっても、THAに準じて内閉鎖筋温存手術を心掛けています。


理由は、、、特に無いです(笑)。人工骨頭なのでTHAと比べて、易脱臼性も出にくいです。このため、短回旋筋群を温存するメリットは大きくありません。


それでも内閉鎖筋を温存するのは、単なる習慣かもしれません。ただ、温存すると言っても、本当に温存できる頻度はさほど高くありません。


温存するためには、下記のように3つの関門があるからです。

  1.  大腿骨頭を摘出できない
  2.  大腿骨の骨質が極度に悪い
  3.  トライアルを整復できない


内閉鎖筋を温存すると、関節内へのルートの50%が塞がれます。このため、①大腿骨頭を摘出することが難しくなります。THAは脱臼するので容易ですが、人工骨頭では難しいです。


②の大腿骨の骨質が極端に悪い患者さんは、術中骨折を回避するために細心の注意が必要です。内閉鎖筋を温存すると試験整復さえ難しくなるので、あっさり内閉鎖筋を切離します。


③のトライアルを整復できないことも同様です。内閉鎖筋がパツパツに張るため、意外なほど整復が難しくなります。しかし、本物は摩擦係数の関係で比較的整復が容易になります。


しかし、ついに先日の症例では本物の整復ができないという事態が発生しました。直接の原因はトライアルと比べて本物のステムの挿入度合が悪かったことが原因です。


トライアルとの差はおよそ5mmです。何度もトライしましたが、全然整復できません。最後には、内閉鎖筋を切離するという苦渋の選択(?)を採らざるを得ませんでした。


内閉鎖筋を切離すると、緊張が取れてあっけなく整復できました。ここまで苦労して①~③をクリアしてきたのが水の泡です。。。なかなかうまくいかないものですね。







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