ちょっと怖すぎる記事を見かけました。
細菌・真菌が体内インプラントで増殖 です。




 インプラントは現代医学において重要な器具の1つであり、新たな技術開発によってインプラント手術は増加している。デンマーク・University of CopenhagenのTim H. Jakobsen氏らは、臨床的に感染症の症状がない患者を対象に手術に関連して埋め込まれたインプラントの状態を検査した結果、70%を超えるインプラントで細菌や真菌が検出されたとAPMIS(2018年7月2日オンライン版)に発表した。その一方で、感染症の直接的な原因となる病原体は見つからなかったという。




陽性率は細菌66%、真菌40%、いずれかまたは両方で73%


デンマークでは、多くの人が股関節や膝関節の置換術を受けたり、骨折した骨をスクリューで固定したりしているが、これらで使用されるインプラントは常に無菌状態であると考えられていた。


 Jakobsen氏らは、2013年2月〜17年4月に同国首都圏の5つの病院において、臨床的に感染症がないインプラント使用患者で①無菌性の弛み②頭蓋顔面インプラントの合併症③骨折の治癒④最近死亡した−に該当する4つの患者群から、スクリューや膝関節、ペースメーカーなど106個のインプラントと周辺組織を採取し、検査した。採取されたインプラントは、患者の体内に埋め込まれてから平均で13カ月経過していた。   

 その結果、対象者には感染症の徴候は認められないものの、インプラントでは70個(66%)が細菌、43個(40%)が真菌で陽性、さらに細菌、真菌のいずれかまたは両方では78個(73%)が陽性であった。




特にスクリューで細菌が繁殖


 今回の検討では、他のインプラントと比べて、特にスクリューで細菌がコロニーを形成していることが分かった。スクリューは皮膚の近くに局在し、インプラントと骨の両方に直接接触していることが多いため、細菌にコロニー形成の機会を提供していると考えられた。真菌の陽性率はさまざまなタイプのインプラントで同等だった。ブドウ球菌のような病原体は発見されなかった。


 さらに、対照群として39個の滅菌インプラントを用いた。インプラントを採取する過程またはその後の分析においてインプラントが汚染された可能性を確かめるため、滅菌インプラントを手術中、または患者に埋め込んだ後、直ちに取り外して検査した。その結果、細菌や真菌は発見されなかった。このことから、インプラントが体内に埋め込まれた後、細菌や真菌の定着が始まることが示唆された。




細菌、真菌が身体に及ぼす影響を調べることが必要


 今回の研究では、無菌状態と思われていたインプラントに細菌が繁殖していることが明らかになった。その一方で、感染症の原因となる直接的な病原体も見つからなかった点について、Jakobsen氏らは「それらが存在していたならば、感染症も発見されただろう」と指摘している。


 同氏らによると、一般的に体内に異物が埋め込まれている状態では、細菌の発生や新たな生育環境が生まれる可能性は増加するという。同氏は「今回特定された細菌や真菌は、患者に悪影響を与えることなく、非常に長期間体内にとどまっていると考えられた。次のステップでは、それらが身体とインプラントに及ぼす影響を正確に調べることが必要である」と述べている。





人工関節置換術を生業としている身の私にとって、この記事は衝撃的でした。。。細菌、真菌のいずれかまたは両方が陽性である確率が73%って、怖すぎませんか???


ただし、細菌や真菌のコロニーがある=感染というわけでもないことも驚きです。不顕性の感染(?)なのでしょうか・・・


n が小さいし、歯科領域のインプラント症例が混じっているので、整形外科の人工関節にそのまま当てはまるわけではありません。しかし、今までは無かった示唆がありそうです。


もし本当にインプラントの7割に細菌もしくは真菌のコロニーが存在するのであれば、何が要因となって感染は発症するのでしょうか?






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