先日のiDeCo の話題の続きです。
iDeCo は節税効果が高く高額取得者の利用率が高い金融商品(?)です。


このため、医師の間では iDeCo への投資は当然のように語られています。しかし、果たして本当にそうなのでしょうか?私は、皆がやることに対してすぐに疑ってかかる性格です。


普段はあまりその手の話題には乗らないのですが、若い医師が iDeCo を語っていたので思わず噛みついてしまいました。




iDeCoの最大の欠点は60歳まで引き出せないこと


iDeCoの最大の欠点は60歳まで引き出せないことです。このことに関しては諸刃の剣なのですが、ファイナンシャルリテラシーが高ければ高いほど不利に働きます。


何故なら、ファイナンシャルリテラシーが高い人は iDeCo の節税効果を上回る運用をすることが可能だからです。しかし、現実問題として該当する人はさほど多くありません。


では一体何が問題なのか? それは、喜んで iDeCo に加入するのは若い人に多い傾向があるからです。何故若いと iDeCo が不利になるのか?


 iDeCo を語るときに「節税効果」と「複利効果」が強調されます。複利効果に関しては運用期間が長ければ長いほど有利になります。それでは若い人の方が有利ではないのか?


複利効果に関しては、もちろん若い人が有利です。しかし、それ以上に途中で引き出せないデメリットの方が大きいと思うのです。


仮に30歳の人が iDeCo に加入した場合、解約できるのは60歳なので30年後となります。これほど超長期の間、自分の資金が引き出せないのは非常に大きな機会損失となります。




誰もが高率の節税をできるわけではない


更に言うと、いくら医師であっても30歳前後では所得もさほど多くないので「節税効果」については限定的とならざるを得ません。


私は、小規模企業共済や iDeCoが真価を発揮するのは所得税率+住民税率=43%以上からだと考えています。それ以下だと節税効果よりも機会損失の方が大きいと考えています。




このように考えると、
  1. 若くて
  2. 所得の高くない人

にとって iDeCo はデメリットの方が大きいように感じます。こんなことを書くと、またまた各方面からお叱りを受けそうですね・・・


しかし、あえて私は30歳台前後の人には iDeCo をお勧めしません。30年間も自己資金が凍結されるのは極めて不利だと感じているからです。


一方、50歳前の人であれば、iDeCo は強くお勧めします。これぐらいの年代なら10年ほどで解約可能だからです。


やはり手元に現金がある状態は最高です。このあたりを十分に理解した上で、iDeCo に加入するか否かを考えるべきでしょう。






★★  医師のための金融資産形成術  ★★


資産家および医師を対象として、2015年10月に開催した本ブログ管理人による 「金融資産形成術セミナー」 の動画、および講演で使用したスライドです。



NY夜景

      



勤務医・開業医の種類に関わらず、医師が資産形成する際には下記の3つを組み合わせることで効率良く資産形成することができます。


1. 医師免許をベースにした人的資産からのキャッシュフロー
2. 不動産からのキャッシュフロー
3. 金融資産投資の技術


①②で得られる安定したキャッシュフローを元手にして、③の金融資産投資技術を用いて資産形成するのです。しかし、多忙な医師が金融資産投資で結果を出すのは難しいのが現実です。


一方、金融資産投資は買値で投資収益性が決まります。 ”多忙な医師がいかにして金融資産を安く買うか?” という命題を解決するため、私は超長期逆張り投資戦略を選択しています。 


今回の「金融資産投資術セミナー」は、資産形成マニュアルで提示した資産形成手法における金融資産投資の各論です。築古木造戸建投資は「守」、金融資産投資は「攻」という位置づけです。


築古木造戸建投資の「守」 と 金融資産投資の「攻」の組み合わせが、安定的な所得のある医師の資産形成における有力な選択肢のひとつと考えています。