人工関節や脊椎インストゥルメンテーションのブドウ球菌による感染症の治療において、リファンピシン(RFP)を併用すると有意に治療成績が向上するという報告が多くあります。


ご存知のように、リファンピシンは結核症の治療薬です。単剤ではブドウ球菌の治療薬とはなりえませんが、ブドウ球菌用の抗生剤との併用で劇的な相乗効果があります。


リファンピシンは骨組織への移行性が良好であり、バイオフィルムを通過できるため高い細胞内活性を示し殺菌的に働きます。


バイオフィルムを通過できる抗菌薬はキノロン系、ホスホマイシン、リネゾイド、ST合剤、リファンピシンなどの抗菌薬に限られます。


人工関節置換後や脊椎インストゥルメンテーション手術後の感染症ではバイオフィルム対策が抗菌薬療法の重要なポイントになるため、リファンピシンは必須と言えます。


感染症プラチナマニュアル 2018 Grande によると、MSSAがターゲットの場合には経静脈投与と経口投与は下記の併用方法が推奨されています。



経静脈投与

  • CEZ 8時間毎 + RFP 300mg 1日2回

経口投与
  • (CLDM、CEX、LVFX)+ RFP



いずれの場合にもリファンピシンがアンカードラッグになっているようです。人工関節や脊椎インストゥルメンテーション術後感染はあまり経験しないので覚えておこうと思います。






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