福生病院の透析中止報道が過熱しています。ほとんどの医師は苦々しい気持ちでこのニュースを傍観していることでしょう。


私もこのニュースを知ったとき「また毎日新聞が部数アップキャンペーンを始めたのか」と思いました。しかし、ちょっと待ってください! 今回の報道の趣旨は下記のごとくです。


  • 透析を中止したのはけしからん
  • 人の命は地球よりも重い
  • 可能なかぎり透析は継続させるべき


これって、透析病院や透析クリニック経営者的には非常に好ましいことではないでしょうか? 客観的にみて、これ以上の追い風はありません。


おそらく今回の報道がきっかけで、透析を途中で中断することは難しくなり、透析導入も積極的になると思います。


今までは医師・人間としての倫理観である程度のバランスを保っていたのが、「とにかく透析!」という倫理に反する方針が公然と要求されるようになること必定です。


思い返せば、毎日新聞は医師のためになるキャンペーンを幾度も繰り返してくれました。大野病院事件では地方の周産期医療を崩壊させて、産科医師を過重労働から解放しました。


また数々の医師バッシング報道は外科などのメジャー科志望医師を激減させ、同時に地域医療崩壊を加速させることで、多くの医師のQOL向上に資することになりました。


私たち医師に「自分を犠牲にしてまで頑張らなくていい、逃げればいいんだ」という気付きを与えてくれた功績は特筆するべきだと思います。


そして、今回の「透析中止けしからんキャンペーン」では、危機的国家財政にも拘わらず医療費増加を後押ししてくれます。そうか、毎日新聞は私たちの味方だったんだな・・・





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