THAでカップの術中リビジョンをせざるを得ない症例はときどきあります。このような事態に陥った時に、問題になるのはステムの存在です。
ステムが挿入されている状態では、ネックが邪魔になってカップ再設置にむけての手技をうまく施行することが難しくなります。
このような場合には、関節包の展開を大きくしてリーマーの出し入れができる状態にする必要があります。しかし、セメントステムの場合にはもう少しスマートな方法があります。
それはセメントインセメント法の亜型の利用です。セメントインセメント法はこちらでご紹介していますが、柔らかい状態のセメントをセメント内に追加充填する方法です。
しかし、術中リビジョンの場合には、ステムをさっき挿入したばかりです。もしステムが polishなら、トロトロのセメントを充填する必要さえないのです!
ステムを抜去して、カップを再設置します。そして髄内を完全に洗浄して異物が混入していないことを確認してから、ステムをそのまま挿入するという荒業(?)が使えます。
ステムの肩部分にだけでもセメントが必要ではないかと思う方もいらっしゃるでしょうが、基本的には何もなくてもOKなはずです。
術中リビジョンは辛い経験ですが、polishステムを選択している場合には、その他のステムと異なりカップ再置換術は比較的容易だと思います。
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