医局で今月号の Monthly orthopaedicsをパラパラ読んでいたところ、Wide awake hand surgery(WAHS)についての特集でした。
WAHSは、カナダの形成外科医である Lalondeが提唱した言葉で、患者の意識がない状態で行う全身麻酔手術に対して、覚醒下に行う局所麻酔手術です。
欧米では麻酔と手術の医師の担当が別であるため、WAHSによる局麻手術は画期的だったようです。一方、日本では整形外科医が伝麻や局静を施行するので斬新さはありません。
Lalondeは高価な WAHSの動画を販売しており、その宣伝も兼ねて頻回に講演しています。以前から、なかなかやり手の医師だな~と眺めていました。
さて、WAHSの特徴は下記のごとくです。
- エピネフリン入りリドカインで局所麻酔する
- ターニケットは使用しない
- 自動運動による動きを確認する
E入りキシロカインを使用するため、真皮以外からはさほど出血しないそうです。また、ターニケットを使用しないため、術後の腫脹が軽度というメリットもあります。
そして、WAHSの最大のメリットは術中に動きを確認できることです。これは腱移行術や腱縫合術で威力を発揮するようです。
私自身の経験では、さすがに腱移行術や腱縫合術を WAHSで施行したことはありませんが、手根管開放術や腱鞘切開術は(無意識に)WAHSを実践しています。
たしかにターニケット無しでもそれほど困ることはありませんし、E入りキシロカインではなくても問題無い印象です。
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